2012年06月05日

5月の読書まとめ

"The Wind Through the Keyhole: A Dark Tower Novel"は『ダーク・タワー』シリーズの中篇。時間的には『魔道師と水晶球』と『カーラの狼』の間に入る。ローランド一行はStarkblastという嵐のために廃村に足止めされ、ローランドが仲間に若いころの冒険譚を語る…というプロットだが、その語りの中にもう一つ昔語りを含む入れ子構造になっている。面白かったという以上に、またローランドとそのカ・テットに会えたのがうれしい。もっと書いてほしい。

クーンツのオッド・トーマスのシリーズは、ちょっとカトリック臭さが鼻についたかなあ。とくに『予知夢』のほう。いったん中断して『フランケンシュタイン』シリーズを執筆してるそうだが、続きがあるかは微妙なんじゃなかろうか。『予知夢』のアンナマリアの子供はキリストの再来の暗示だろう。が、それ書いちゃうとなあ。禁じ手な気がするの私だけ?

5月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:3058ページ
ナイス数:0ナイス

赦されざる罪 (創元推理文庫)赦されざる罪 (創元推理文庫)
読了日:05月29日 著者:フェイ ケラーマン
オッド・トーマスの予知夢 (ハヤカワ文庫NV)オッド・トーマスの予知夢 (ハヤカワ文庫NV)
読了日:05月26日 著者:ディーン クーンツ
オッド・トーマスの救済 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-10) (ハヤカワ文庫NV)オッド・トーマスの救済 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-10) (ハヤカワ文庫NV)
読了日:05月23日 著者:ディーン・クーンツ
The Wind Through the Keyhole: A Dark Tower NovelThe Wind Through the Keyhole: A Dark Tower Novel
読了日:05月21日 著者:Stephen King
鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)
読了日:05月13日 著者:アイザック・アシモフ
総統の子ら (下) (集英社文庫)総統の子ら (下) (集英社文庫)
読了日:05月05日 著者:皆川 博子
総統の子ら (中) (集英社文庫)総統の子ら (中) (集英社文庫)
読了日:05月03日 著者:皆川 博子

2012年5月の読書メーターまとめ詳細
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2012年05月07日

4月の読書まとめ

もりお祭りで忙しかったもんで、相変わらず10冊に届きませんよ orz

4月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:3231ページ
ナイス数:0ナイス

総統の子ら (上) (集英社文庫)総統の子ら (上) (集英社文庫)
読了日:04月29日 著者:皆川 博子
オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV )オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV )
読了日:04月25日 著者:ディーン・クーンツ
日の名残り (ハヤカワepi文庫)日の名残り (ハヤカワepi文庫)
読了日:04月18日 著者:カズオ イシグロ
オッド・トーマスの霊感 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-7)オッド・トーマスの霊感 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-7)
読了日:04月16日 著者:ディーン・クーンツ
フランケンシュタイン 対決 (ハヤカワ文庫NV)フランケンシュタイン 対決 (ハヤカワ文庫NV)
読了日:04月12日 著者:ディーン クーンツ
剣の騎士 [永遠の戦士 コルム1] (ハヤカワ文庫SF)剣の騎士 [永遠の戦士 コルム1] (ハヤカワ文庫SF)
読了日:04月09日 著者:マイクル ムアコック
杖の秘密  ルーンの杖秘録4 (創元推理文庫)杖の秘密 ルーンの杖秘録4 (創元推理文庫)
読了日:04月05日 著者:マイケル・ムアコック

2012年4月の読書メーターまとめ詳細
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2012年04月23日

『オッド・トーマスの霊感』

むかし、スティーヴン・キングの邦訳は読み尽くしちゃったけどまだ原書に手を出す勇気がなかったとき、他の作家のモダン・ホラーを読みあさった時期があった。クーンツもかなり読んだし、とくに人語を理解する犬が出てくる『ウォッチャーズ』は犬好きにはたまらない小説だった。が、人間の深層心理をえぐるようなキングとちがって、悪も善もわかりやすいクーンツはモンスターもわかりやすく、いささか食い足りなくてそのうち読むのをやめてしまった。

久しぶりに読んだ『フランケンシュタイン』三部作は、フランケンシュタインとモンスターが現代まで生き延びていたという設定があまりにトンデモだったので手に取ったのだが、大団円の予想がつくB級ハリウッド超大作みたいで、よくも悪くもクーンツらしい作品だった。が、後書きにあった「オッド・トーマス」のシリーズはなんか面白そう…ということで早速第一作『オッド・トーマスの霊感』を借りてくる。

オッド・トーマスは南カリフォルニアの町ピコ・ムンドに住む20歳のコック。彼には特異な能力があった。死者の霊が目に見え、霊が伝えたいことがわかるのだ。ある日、オッドは勤務先のレストランで悪霊の取り憑いた男を見て、不吉な予感を覚える。彼は男の家を探し出して中に入るが、そこで数多の悪霊を目撃した。そして翌日に何か恐ろしいことが起きるのを知るが……

似たようなプロットで『ゴースト 天国からのささやき』てドラマがあった。あれも主人公は霊能者で、霊がこの世でやり残したこと、言いそびれたことを遺された人に伝えてあげるという話だが、視聴者は死者と生者をだいたい区別できる。この小説のミソは一人称で記述されているところ。主人公が「見た」人物が霊かどうかは、主人公がそう書かなければわからないのだ。そのトリックがうまく使われている。

ボダッハという不気味な存在もイイ。これも死者の霊と同じく主人公にしか見えないのだが、惨劇が起こる現場や死が迫った人のまわりに出没する。主人公は、タイムマシンに乗って惨事を見物にきた悪趣味な未来人ではないかと思っている。

主人公の近しい友人は彼の特殊能力を知っている。警察署長もその一人で、ときどき主人公は死者の霊の情報をもとに殺人事件解決の手助けをする。また、この本を書くよう薦めた超肥満のミステリー作家もチョイ役ながら印象的。友人とは言えないが、なぜかこの町に住み着いているプレスリーの霊というのも出てきて、プレスリー・マニアの女性と好対照となっている。

一番魅力的なのは主人公の恋人のストーミー。モールにあるアイスクリーム店で働く彼女は、この世は新兵訓練所だと信じている。この世のどんな過酷な体験も次の世界で「兵役」につくための訓練で、兵役で「冒険」をしたあとの世界では「褒賞」が待っていると。幼いころに両親を失い、里親に性的虐待を受けたストーミーは、そう自分に言い聞かせてつらい日々を乗り越えてきたのだ。彼女の名前がどうもウェールズ系くさいところ(ストーミーは通称で、本名はブロンウェン・ルウェリンという)も個人的にはポイント高い。

ほかにも盲目のDJ(『ブラック・ハウス』の登場人物を思い出した)や、911で家族を失ったことを受け入れられず、彼らはただ「見えなくなった」だけで自分も見えなくなってしまうのを恐れている女性など、今までになく脇役にいたるまでキャラクターに味がある。

企てた悪事のわりには悪役が小物くさく類型的なのが難点だが、一人称という制約上、悪役の内面を描くことは難しかったということだろうか。

ハッピーエンドが多いクーンツというイメージがあったので、予想はできたもののほろ苦いラストは意外だった。クーンツの最高傑作に推す人もいるが、ラストが違っていたらここまでは評価されなかったと思う。やっぱりハッピーエンドしか書けないうちは作家はダメだと思うんだな。バッドエンドしか書けない(主人公が特攻して終わり、的な)のはもっとダメだけど。
posted by bluegene at 21:00| Comment(0) | 読書