2013年02月25日

『ゼロ・ダーク・サーティ』

『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督の新作を見てきた。ビン・ラディン殺害作戦を描いてるんだが、チョイ役でジョン・バロウマンが出てることもあって、個人的にかなり注目していた。

ビン・ラディン捕獲はシールズの名を世界に知らしめたが、彼の潜伏先を突き止めた人たちのことはあまり語られなかった。諜報機関の人間が表舞台に立つことはないので当然かもしれないが、危険な紛争地域に身を置いて泥臭い仕事をする人々の苦労が報われた物語を描いている点は『アルゴ』に通じるものがある。

オープニングでは9.11のテロの際に犠牲者が残した声のメッセージだけが流される。スクリーンは真っ暗なままだが、あの日の映像は誰の心にも刻み込まれているから、あえて映す必要はないだろう。

テロのあとCIAは総力をあげてビン・ラディンの行方を追うが失敗続きだった。それどころか捕虜への虐待行為が問題視される始末。そんなとき、パキスタン支局に若い女性分析官のマヤが配属される。彼女は捕虜から聞き出したアブ・アフメドという名前に着目する。その男はビン・ラディン直属の連絡係と思われ、ビン・ラディンは彼の近くに潜伏しているに違いなかった―

映画はドキュメンタリー・タッチなので、主人公やその周囲の人々が使命感にあふれたセリフをいうでもなく、爆破数秒前にテロリストの爆弾を解除するヒーローが出てくるでもない。現地に溶け込めず諜報活動をやりにくそうなCIAのダメっぷりも淡々と描かれる。アブ・アフメドのアジトを突き止めても、確証がない限り作戦を決行しないという上層部からは、同時多発テロから10年近くたってビン・ラディン捕獲のプライオリティが下がっていたことがうかがえる。

突入作戦は実際のアジト(パキスタン北東部の都市郊外の邸宅)を再現してロケしたそうで非常にリアル。米軍側に被害がなかったことを知っていても、ドアを爆破しようとして中から撃たれるシーンや、騒ぎを聞きつけた近隣住民がジワジワと近づいてくるシーン(『ハート・ロッカー』でも、敵なのか野次馬なのか判然としない地元民が描かれた)は緊迫感にあふれている。

アジトから運び出したハードディスクやビデオ、書類などを仕分ける作業の中、マヤは回収してきた死体がビン・ラディンであることを確認する。それも、死体袋を開き、見つめてうなずくというわずかなアクションだけ。こういう抑えた演出が全編に通じて見られるのだが、たまにひょこっとユーモアが顔を出すのは『ハート・ロッカー』と同じで、それがこの監督の作風なのだろう。

この監督、『ハート・ロッカー』までぜんぜん知らなかったんだが、過去の作品でも『K-19』という潜水艦事故の映画とか面白そう。今度借りてみよう。

で、個人的注目のばろまんさんはCIA長官(『ザ・ソプラノズ』のジェイムズ・ガンドルフィーニ)の補佐役。セリフ二か所だけ、画面に映ったのはトータル1分てとこだが、相変わらずほれぼれするような二枚目だった。そんなハンサムなのになんでCIAなんかで働いてるんだ!と突っ込みいれたくなった。
posted by bluegene at 13:21| Comment(2) | 映画
この記事へのコメント
見ごたえのある作品でしたね。

ばろまんさん演じるジェイミーの出番は短いながらも、マヤの逸材ぶりを見抜いていたり、デキルCIAキャラでしたね。ジェイミーのバックグラウンドを知りたいです。  ハニートラップ要員として若いときは活躍していたのかも w


Posted by さとうさんた at 2013年02月27日 00:42
若いころは、実は『ワールド・オブ・ライズ』のでかぷーのような工作員だったのかもしれません!スピンオフできないかなあ(笑)
Posted by bluegene at 2013年02月27日 11:09
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