2014年11月30日

The Normal Heart

HBOが制作したテレビムービーで、USで放送されたときから大きな話題になっていたので、スターチャンネルでの放送が決まって楽しみにしていた。

あらすじ:
舞台は1980年代はじめのニューヨーク。ゲイの男性のあいだで特殊な伝染病が広がり、「ゲイ・キャンサー」と呼ばれるようになっていた。自身もゲイである作家のネッドはその感染症について取材にいき、医師のエマにそれが免疫系を破壊して死に至る病気だと教えられる。友人たちが病に倒れていく中、ゲイに対する偏見から行政が手をこまねいていることに業を煮やしたネッドは、仲間たちと自助団体を結成する。だがコミュニティの外からは支援の手がなかなか差し伸べられず、強硬路線に突っ走るネッドと仲間たちの間の亀裂は広がるばかり。そして運動を通じて知り合った恋人、フェリックスも発病してしまう…

ネッドにマーク・ラファロ、AIDSの研究に打ち込む臨床医エマにジュリア・ロバーツ、ネッドの兄にアルフレッド・モリーナ、ネッドの恋人フェリックスにマット・ボマー、他にもテイラー・キッチュやジム・パーソンズ等、映画・テレビで馴染みのある俳優がずらりと顔をそろえている。監督はゲイであることを公にしているライアン・マーフィー。

もともとは1985年にオフ・ブロードウェイで上演された芝居で、ゲイ活動家として知られるラリー・クレイマーが自分の経験をもとに書いた作品だそうだ。つまり自分が立ち上げた団体、GMHC(ゲイ・メンズ・ヘルス・クライシス)を追放された直後に書かれた話なので、これからどう戦うのか彼が悩んでいた時期だと思われ、見終わった印象はかなり暗い。

AIDSの蔓延に危機感をもってGMHCを立ち上げたものの、運動の成果はなかなか上がらない。いらだつ気持ちはみな同じなのだが、ネッドと他のメンバーとの社会的な立場の違いが行動の違いにつながる。裕福な家庭の出身で不労所得があるネッドは怖れることなくメディアで過激な発言を繰り返すが、他のメンバーはゲイ活動家であると同時に一般市民であり、そのバランスが崩れると社会的地位を失いかねない。

ネッドにしてみればそんな仲間の弱腰な態度がガマンできないのだが―なにせAIDSは生きるか死ぬかの問題なのだから―、彼の暴走は周囲になかなか理解されないし、相手のいうことに耳を貸さない態度は視聴者として見ていてもかなーりイラつくものがある。が、ラリー・クレイマーはもっと強烈なキャラクターだそうで、それぐらいのパワーがあればこそ、病気だけでなく行政や製薬会社との戦いを続けられたのだろう。

この鬱陶しいネッドというキャラクターを熱演したマーク・ラファロもさることながら、エマ役のジュリア・ロバーツが素晴らしかった。エマは子供のころポリオにかかって車椅子で生活している。彼女もまたウィルスの犠牲者であり、医師に見はなされた経験があったから、AIDSの犠牲者たちを看過できなかったのだろう。気難しく、笑顔を見せることもなく、死ぬとわかっているのに禁欲できないのか、と罵ったりもする女性である。研究助成金の審査をしに来た役人に申請を却下されて激怒するシーンは圧巻だった。

20キロ近い減量をして臨んだマット・ボマーの熱演はあちこちですでに語られているのでつけ足すことはないが、死期が迫ったフェリックスの瞳があの美しい透明なブルーではなく、白濁した薄い青になっていたのにびっくりした。メイクさんすごすぎ。

ジム・パーソンズは「ビッグバン・セオリー」の天才物理学者シェルドン・クーパー博士として有名で、私も大好きな俳優である。彼が演じたトミーはGMHCのライフラインの開設者で、穏やかで思慮深い人物だが、一本しっかりとバックボーンが入ってる感じがよく出ていた。ひそかにネッドのことを想っているところがいじらしかった。

この映画のクライマックスは、ネッドとGMHCのメンバーとの決裂、そして死を前にしたフェリックスとの結婚の誓いなのだが、私にとって最も強烈に印象に残ったのはGMHC会長のブルースの恋人の死だった。

死期が近いことを知った母親に会いたがったので、ブルースは彼を故郷に連れていこうと飛行機に乗るのだが、まずAIDSの患者がいると知ったパイロットが搭乗を拒否。パイロットが交代してやっと離陸したものの、機内で病状が悪化して救急搬送された病院では医者が死亡告知も拒否。駆け付けた母親が見たのはストレッチャーに放置された息子の変わり果てた姿で、死亡診断書をもらえないので葬儀の手配さえできず、あろうことかゴミ袋に詰めて裏口から運びだすことに…

映画ではもっとも長く「AIDSによる死」を語るシーンなので、きっと実際にあったいろいろなケースを総合したのだろうと思うのだが、もうなんかあまりにも悲惨で呆然としてしまった。そもそも重態の患者を移動させたことが無謀なんだけれども、母親がNYに来られない理由があったなら腑に落ちるし、それはきっと父親が許さないからなんだろうな、勘当状態だったのだろうな、と。おまけに母親役の女優さんが、息子の年齢にするとちょっと高齢で(白髪だったせいかもしれんけど)、遅くにできたか、末っ子か、いずれにせよ可愛がっていた息子なんだろうなとか、「お前が甘やかすからあんなふうに育ったんだ」って夫にいつも責められてたのかもなとか、すごい脇役なのに勝手に想像が暴走して涙腺が崩壊( TДT)

でもあの時代にAIDSに対して誰もなにもしなかったのは、誰もそういうふうに想像してあげなかったからだと思う。そこで死にかけてる人は「きもちわるいホモのおかま野郎」じゃなくて、だれかの愛する息子であり、恋人であり、血肉をもった人間なのだ、ということを。
posted by bluegene at 20:04| Comment(1) | 映画
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Posted by Office 2010 ダウンロード版 at 2016年07月27日 15:27
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